なぜ、母と会社を興したのか?
「会社を興すから、一緒に手伝ってくれへん?」
母からの突然の依頼でした。
その当時、私は以前から希望していた東京にある企画会社に就職が決まり、これから住居を探そうとしていたところだった。
本音を言えば『東京に行きたい』
悩みました。
母はその数年前に父と離婚をし、事業を失敗した父の借金を肩代わりしていたので、必死に働いていた。そして、その頃家庭用のクリーニング溶剤の卸・販売を始め、車を倉庫代わり、事務所代わりとして西へ東へとがむしゃらに走り回っていました。
そのビジネスが軌道に乗りかけていたのです。
母は、「ちゃんと事務所を構えて、もっとこのビジネスに本気に取り組みたい・・・だけど、今は人様にきちんとしたお給料を払える状態にないので、もう少し軌道に乗るまで手伝ってほしい」ということでした。
自分の夢をとるのか?どうするのか?
親孝行っていうのは、親が年老いてからするものだと思っていました。
だけど、その時に私が思った事は・・・
『これからの母の人生の中で、今が一番私の力を必要としているのではないか?もし、今親孝行をしなければ私は一生後悔するかもしれない』
そう、私は「親孝行」と捉えていたのです。
母の必死に働く姿を見て、自分の事だけを考えることは出来ませんでした。
『軌道に乗るまで・・・』ということだったので、私も気持ちを切り替え『少しの間真剣に母の【力】になろう』と決心したのでした。母は、天性の営業マンですが、会社経営に関しては営業以外はあまり得意ではなかったので、営業以外は殆ど全て私が引き受けました。数人がやるような仕事を私一人がこなすのですから、夜遅くまで仕事する日々が続きました。世間はバブル真っ盛り・・・だけど私にはあまり関係なかったようです。
母も私も必死に働いた甲斐があって、売上も順調に伸び従業員も雇えるようになりました。しかし、忙しくなればなったで私は「辞められない」状態になってしまったのでした。
『少しの間』のつもりが、もう今年で20年も経ってしまったのです。